1995 年以前の ISAS ニュースバックナンバー

ISAS ニュースの 1996 年以降のバックナンバーは

で閲覧できますが,実は 1982 年以降のバックナンバーがこちらで公開されていることを最近知りました.なぜか他のページからリンクされていないんですよね….

1982 年以降の特集号と,1993 年以降の全号が PDF で公開されています.残念ながら創刊号などはありませんが,日本の宇宙開発史上第一級の史料であるだけでなく,ともかく大変面白い記事が多いのです.以下,いくつかピックアップしてみます.

ウェブ上で入手できる最も古いバックナンバーが 1982 年 1 月号(No.10)です.まだ宇宙研駒場にあった頃の発行.全体の雰囲気は今とほとんど変わりません.M-3SII や臼田アンテナ,ASTRO-B(てんま),ASTRO-C(ぎんが),EXOS-C(おおぞら),MS-T5(さきがけ),PLANET-A(すいせい)などの計画が希望と共に描かれています.

1986 年の特集号(No.56).MUSES-A(ひてん)や GEOTAIL などに加え,「その後の夢」として小惑星サンプルリターン計画が検討されており,光学航法や電気推進などの必要性が述べられています.

1987 年の特集号(No.70)では,月ペネトレータ計画が詳細に描かれています.LUNAR-A の記事は以降の ISAS ニュースにも頻繁に登場しており,いかに宇宙研がこの計画に力を入れていたかが良くわかります.

199X年,私は宇宙科学研究所の深宇宙管制センターのモニター・テレビの画面に釘付けになっている。先月日本の宇宙科学者の総力を挙げて打ち上げた月探査衛星から送られてくるデータが,モニター・テレビに次から次へと写し出されている。

という文章で始まるこの水谷先生の文章を読むと,LUNAR-A が中止され,そしてかぐやが月に到達した今,複雑な思いにとらわれます.

特集「相模原キャンパスを歩く」(No.94).相模原に移転した宇宙研の隅から隅まで,的川先生や編集委員の軽妙な語り口で語られます.正門の塀がオーロラをかたちどったものだとか,ISAS 富士は銀閣寺の向月台を模しているとか,A 棟レリーフの中にミウラ折があるとか,「すいせい」の取得画像をタイル屋さんが忠実に再現したとか,皆さんご存知でしたか??

月・惑星探査計画特集(No.118).若き川口先生による「星の王子さまとデート―小惑星探査ランデブ計画」は必見です.サンプルリターンは盛り込まれていませんが,ターゲットマーカ投下によるホバリング等,はやぶさで用いられた技術が既に詳細に検討されていることがわかります.

No.148 から 4 回にわたって連載された,川口先生の「DISCOVERY - NASA が考える近い将来の惑星探査計画について」.川口先生が当時既に NASA の DISCOVERY 計画と宇宙研ミッションとの競合を非常に危惧されていたことがよくわかります.

かぐやの超精密マヌーバの礎となった,ひてんミッション特集(No.154).スパゲティのような軌道の数々には驚愕です.

No.170 から連載された「私の書類整理術」.皆さん本当にさまざまな工夫で書類整理をされていて,どんな職種の方にもためになりそうな記事です.

2007 年 9 月現在,ISAS ニュースは No.318 まで発行されています.専属の広報ではなく研究者の方々が仕事の合間を縫って編集されているのには本当に頭が下がります.これからも,楽しい記事を期待しています.