それぞれのやり方ではやぶさ2を応援する

昨日はひどいエントリ(はやぶさ2応援スタンス - はやぶさまとめニュース)をうpしてしまって申し訳ないです.今読み返すと論理はめちゃくちゃだし色々問題発言してるし,そもそも削除された記事に触れるのはマナー違反ですね.炎上してもおかしくない記事ですが,皆様大人な対応をして下さって恐縮です.人生ご縁となりゆきでさんからトラックバックを,Garbage Collection さんからコメントを頂いております.さらに Garbage Collection さんの記事ではいったん削除した記事を復活して頂き,さらに追記いただきました.本当にありがとうございます.

「人生ご縁となりゆきで」さんが書かれておられるように,他のミッションへの圧迫以前に,文学などの研究分野が実学志向の風潮によってますます厳しい状況になっているという現実があります.いやそれよりもっと前に金が必要なところはいくらでもある,という現実もあって,1960 年代に「フォン・ブラウンの歌」で揶揄されたような問題は宇宙開発に永遠についてまわる課題ですね.この点は忘れるべきではないけど,今回の論点からはひとまずおいておきます.ともかく,そういう厳しい状況にあるにも関わらず,文学畑の方がはやぶさを心から応援して下さっていること,他にもはやぶさスレでは宗教学科卒の方とか音大出身の方とかおられましたが,専門が異なる方々からはやぶさが熱く支持されているというのは素晴しいことだと思うし,そういう方々の声こそが力を持ってくるのだと思います.

Garbage Collection さんのご指摘

僕が迷っているのは、ふと「はやぶさ2に予算を!」という要望が、言外に「他のプロジェクトはいいから」と言っているのと同じような気がしてしまったから。かといって「ほかのプロジェクトも全部通してくれ」というのもなんだか無責任な気がする。じゃあ、JAXAの予算が純増すればいいかというと、それは結局問題をもう一つ大きな枠へ押し出すことにしかならない...

はまさに自分の心の悶々とした部分そのものでした.そうなんですよね.ある意味,いろんな問題を脇に置いた無責任なキャンペーンです.このキャンペーンのせいで落ちたプロジェクトから「どうしてくれる!」と詰問された時に責任取る覚悟はまだ出来ていない,そんなヘタレな管理人です.ごめんなさい.

そもそも今回の迷いは,ここ数日色々な事情がわかってくるまではあまり意識していませんでした.キャンペーンを立ち上げた当時(11/30)は,ISAS「はやぶさ」の近況と「はやぶさ-2」に向けて と「財務省のご意見箱に投稿する: 松浦晋也のL/D」が唯一の情報でした.これらの情報から自分は単に「はやぶさ2のための追加予算を別枠で申請するということなのだろう」と勝手に推測しました(予算の申請の仕組みというのは良くわかっていません).追加予算が通れば国の財政を多少なりとも圧迫する,ということは考えましたが,他のミッションを圧迫することまでは考えが至らなかった,というのが正直なところです.松浦さんや秋山さんの説明で事情が明るみに出るにつれ,「これって本当に良い事なのだろうか?」と急速に疑念が持ち上がってきたのです.実は自分自身,財務省にはメールを出しましたが,JAXA にメールを出すべきかどうか,頭がまだ整理できていません.

ですが,もうキャンペーン自体は動き始めてしまった後ですし,万人を納得させるというのはそもそも無理です.そこはもう割り切るしかありません.まとめ Wiki が出来ることは,はやぶさプロジェクトを応援し,中の人から要請があれば協力すること,そしてはやぶさファンに情報を伝えることです.一人でも多くの人にこの問題を知ってもらいたい.しかし,賛同するかどうか,参加するかどうかは納税者一人一人が判断すべき事です.VSOP-2 や GX に予算をつけろとメールを出す人,全プロジェクト通せと要望する人,なりゆきを生温かく見守る人,友人や知人に協力を要請する人,バナーでキャンペーンの存在を広く知らしめる人,問題点を挙げる人,いろんな応援の仕方(あるいは応援しないという選択肢)があると思います.どういうスタンスで応援していくか,それを決める材料を提供するのがキャンペーンの真の役割かな,と思っています(なので,少しキャンペーンページの文面を修正しようかと思います.まあ,あまり消極的なのもどうかと思いますので,ある程度の扇情的な文面はしょうがないと思います).昨日も書きましたが「宇宙ファンなら参加しるゴルァ!」みたいなことは言いません.松浦さんの情報をよく読んで,どうすべきかを判断して下さい(これこそ無責任の極みかも知れないが,わかってください).

なので,

だから、僕はこのキャンペーンを支持するけれど、たぶん参加はしない。それが一晩悩んで僕が出した答え。矛盾しているだろうか?

というのは,とても納得できる意見です.管理人としては,支持していただけるだけでありがたいことです.秋山さんも,「はやぶさ2追記」で,迷いつつも出された結論を公表しておられ,それも,非常に納得できる意見です.

というわけで,管理人も,迷いながらもはやぶさ2を応援していきたいと思っています.願わくば,はやぶさ2だけでなく他のプロジェクトにも希望が見出せますように.ご意見やお叱りのコメントあれば,ぜひお寄せください.



追記:42 さんのところでも取り上げていただきました.あー,なんで皆さん管理人の言いたいことを実に的確に書いてくれるんだろう.自分の文章力のなさにげんなりする.

もしそれによって、他のプロジェクトが犠牲になりそうであれば、「はやぶさ」がそうしたように、ぜひ状況を詳しく教えて欲しい。プロジェクトの意義が私に理解できたら、そのプロジェクトも一緒に応援するから。

まったく同感です.はやぶさ2のように直接ホームページで声をあげるのはなかなか難しいことだとは思いますが,もしも外の人が協力できることがあるのなら,ぜひ私達に知らせていただければと思います.


追記(2006-12-07):
はやぶさ2に迷う。 - せつなく朽ちた鉄扉
こういう意見を徒につぶさないようなはやぶさ2支援活動をしていきたいと思っていますね.

というか,そもそも JAXA に対する要請に関しては穏健派と革新派(笑)がいるんで,いろんな意見が送られていそうですね.JAXA の人も困ってしまったりしそうだ.

ISAS ニュース 10 月号,11 月号

ISAS ニュース 6 月号 - はやぶさまとめニュース」で

10 月号,11 月号はまだですかー??

と書いたのが読まれてしまったのでしょうか,早速 10 月号,11 月号がうpされました.

http://www.isas.ac.jp/ISASnews/No.307/ISASnews307.html
http://www.isas.ac.jp/ISASnews/No.308/ISASnews308.html

10 月号で目を引いたのは,故・小杉先生の「たいまつは受け継がれた」です(11 月号にも小杉先生の遺稿が載っています).喜びに沸く運用チームの集合写真の中央で微笑む小杉先生が目に焼きつきました.また,「宇宙・夢・人」の周東さんの記事では,はやぶさタッチダウンの時の広報室の仕事の話がでています.

11 月号は「はやぶさ近況 果報は寝て待て……再突入カプセル(山田哲哉)」が載っています.「はやぶさ近況」は最終回一つ前だそうです.せめて巡航フェーズに戻るまでは続けて欲しかったんですが.他,「浩三郎の科学衛星秘話」は「のぞみ」が地球パワースイングバイの際にラッチングバルブの故障でΔV が十分に出なかった,という運命の歯車が狂った瞬間を描いています.松浦さんの「恐るべき旅路」で読んではいましたが,あらためて中の人が書かれた文章を読みますと,いろいろと思うところがあります.また「宇宙・夢・人」の森田先生の話も,先日の JAXA's とあわせて大変興味深いです.