かぐや,ハイビジョンによる「地球の出」「地球の入り」動画を公開!

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!

すごすぎて言葉が出ません.なんつー画像を撮ってきやがったんだ….

JAXA のかぐやサイトはアクセスが集中したようです.
かぐやスレもものすごい勢いで消費されてますね.最盛期のはやぶさスレを思い起こさせます.

Emily さんも大喜び.

ちなみに Emily さんによると,JAXA のプレスリリースにある

月面越しに地球が昇っていく「地球の出」は、アポロ計画で初めて撮影されました。

は正確には間違いで,1966 年に Lunar Orbiter 1 が撮影したのが最初のようです(以下のページには当時のすばらしい画像が載っています).というわけで,JAXA の方(万が一ここを読んでいたら),ご確認お願いします.

また,

月面上に立つ人間からは地球は絶えずほぼ同じ位置に見え、地球が地平線から昇ってくるような「地球の出」を見ることはできません。

についても,だいたいはこの理解で合っているのですが,厳密には月の表側と裏側の境界に立っていれば,秤動によって,地球が 1 ヶ月周期で地平線から出たり入ったりするのが見えるという話があります.

Yahoo.com にも載りました! ここによると,「フル・アース」も撮るかも知れないとのこと.フル・アースだとか,三日地球とか,いろいろ撮って欲しいですね.

"We may also try to shoot images of a full Earth," JAXA spokesman Akinori Hashimoto said.

APOD にも載りました!すばらしい!

今回の HDTV 画像は,当面は JAXAi で 60 インチの大画面で見ることができるそうです!

かぐやスレにもレポ.未公開画像!これはすごい.

506 名無しSUN [sage] Date:2007/11/18(日) 16:09:08 id:N5M6f3u4 Be:
JAXAiに行ってきました。
静かな音楽の流れるJAXAiに、ただ淡々と流れているだけだけど、
NHKでも放送で使っていない映像が含まれていました。
JAXAiの人に聞いたら、確かに含まれているそうです(あと編集なしって
言ってたw)。
全部見ると二十〜三十分くらいかかるんだけど、退屈しなかったですよ。
しばらくは上映するそうで、上映していなくても、言えば上映してくれるそうです。

日本科学未来館でも当面の間は 52 インチハイビジョンで常設公開だそうです.東京近辺ばかりなのが少し残念ですがね.


ちなみに,科学ニュース+板に神がいたようです.

458 名無しSUN [sage] Date:2007/11/13(火) 20:55:29 id:aFheN50m Be:
今回の地球の出の撮影の予想当ててる人がいた。読みスゴス
------------
273 :名無しのひみつ [] :2007/11/06(火) 05:34:44 id:E6KsUMzE
かぐやの軌道データより推理

かぐやの地球の出撮影は、
11月7日の日本時間 10:45〜11:15 、
または12:45〜13:15あたりかと思われる。

7日水曜日の日本列島は概ね晴れ

いい画が撮れそうだ
531 :273 ◆Qjqa8eaFC6 [mail] :2007/11/13(火) 20:07:12 id:mK4NceHi
>>528
> 11月7日14時52分(日本時間)に「かぐや(SELENE)」ハイビジョンカメラ(広角)から撮影され

予想よりも月軌道一周分遅かった      orz


かぐやのハイビジョン搭載に関しては,当初は反対意見もあったようですね.

634 :セレーネシンポその2:2006/08/01(火) 00:28:43
面白かったこと。
・セレーネにハイビジョンカメラを載せるかどうか論争があったと
 講演者がうっかり説明。質疑応答でアウトリーチをやっている人から
 「(アウトリーチに重要なハイビジョンで)なぜ揉めたのか?」との
 質問が出る結果に。
・回答の前半は技術的なコメント「素子の細かいもの(=ハイビジョン
 カメラ)をもっていっても、当時のものは宇宙環境の劣化で数ヶ月しか
 もたない(画像が穴だれけになる)。そういう不確実なものを持って
 いっていいかという議論があった」(つまり、すぐ壊れるセンサを積む
 なら、他の科学センサを載るという意味と推定)
・回答の後半は少し別の視点で「理学側は反対(まあ当然でしょう)、
 当時のプロマネは中立でした」と言った後に「みなさんご存知の方は
 分かると思いますが、言い出したのが的川先生だったので...」
 会場(笑)。的川先生偉大なり。

理学側の意見もよくわかるのですが,やはり最近の大変な盛り上がりをみていると,的川先生の判断は正しかったと思いますね.動画リリースが予想以上に早かったのは,素子が数ヶ月しか持たないということがあるかも知れません.劣化しないうちに撮り溜めしておいてほしいものです.

YouTubeニコニコ動画でも今回の動画は大人気のようですね.個人的には What a Wonderful World を BGM にしたものがなかなかよいなと思いました.
http://youtube.com/watch?v=CEAMQALvDC4

かぐや,月の裏側の重力場の直接観測に世界で初めて成功

「地球の出」より前に出た話です.ひっそりと出ていましたが,サイエンスの面からみると,実はハイビジョン動画がかすんでしまうくらいすごい話らしいですねこれが.

おきなとの連携 GJ ですね!技術的には 4-way ドプラという大変難しいことをやっています.技術的にどれだけすごいのかというのは,ごんざぶろうさんのページが詳しいです.

早くデータが見たい!

かぐやのハイビジョン画像を NHK 特番で放映

かぐやの撮ったハイビジョン映像が NHK の特番「探査機“かぐや”月の謎に迫る〜史上初!「地球の出」をとらえた〜」で 11/14 に放映されました.また,NHK ニュースなどでも取り上げられたようです.プレスリリースに出ていた以外の動画もあったとのこと.

今回の番組はディスカバリーチャンネルカナダとの共同制作ということで,そちらでも特番があったようです.

管理人は録画はしたのですが,実は暇がなくてまだ見るに至ってないのですよ…orz.松浦さんによると,予想よりはよかったようです(笑).個人的には,ゲストトークなどなしでただ画像だけを延々と流してくれるとよいんですけどね.昔,ボイジャーの頃の特番なんかはそういう感じでやってましたよね.

ちなみに,実況スレでキャプされていた画像を,かぐやスレの住人がスライドショー形式にしてくれました.雰囲気だけでもつかみたい人はこちら.
http://youtube.com/watch?v=C0Cxac4SQgs

NEC C&C ユーザーフォーラム & iEXPO 2007 にかぐや実物大モデル

NEC が開催するイベントに,かぐやの実物大(!)モデルがお目見えするようです.マイクロバスほどの大きさがあるというかぐや.きっと相当な迫力でしょう.HDTV 画像の放映も行うようです.

かぐや,地形カメラとマルチバンドイメージャによる観測に成功

朗報ラッシュです!!

素人目にもなにやらすごいデータだというのが伝わってきます.

このデータに関しては,ISAS メールマガジン第 166 号の春山先生(地形カメラの PI)の記事が非常に印象的です.(まだバックナンバーが出ていないので一部引用します)

 ハイビジョンカメラ(HDTV)の初期機能確認として撮影された動画を見たとき、おいおい、と思いました。「月が美しすぎる。まるで本当に月上空を自分が飛行しているみたいじゃないか。これじゃ、LISMなんて要らない、なんて誰か言い出すのじゃないだろうか…」

 しかし、初期機能確認用としてLISMの初めて降りてきたデータに、月面の細かい構造までがはっきりと映し出されているのを見たとき、そんな心配は吹き飛びました。自分が手塩にかけた機器だからひいき目に見て言うのではありません。LISMが我々に送ってきてくれたデータは本当にすごい、すごすぎます。今はまだ、すべての機器の初期機能チェックの段階であまりデータはありません。しかし、12月半ば頃から始まる予定の定常運用で、LISMが送ってきてくれるデータは、きっとさらにすごいものなるでしょう。

PI の方が「すごすぎます」なんていうくらいだから,もうwktkがとまりません!!

ちなみに春山さんがまだ NASDA におられたころのインタビューが以下にあります.当時からずっと準備してこられた月探査がいよいよデータ取得に入ると思うと感慨深いものがあります.ISASNASDA の違いの話なども面白い.

プレスリリース以外のかぐやハイビジョン動画が大量にひっそりと公開されていた

な,なんと,プレスリリースで出た HDTV 画像や NHK で流れた画像以外の大量の HDTV 動画が,JAXA ビデオアーカイブスでひっそり公開されていました!! 未公開動画もあります.

以下の検索結果をみるとよいようです.

各動画へのリンクです(既出のものも含む).個人的なおすすめは,夜側から昼側に向かう映像と,Tsiolkovski です.

HDTV 画像以外にも,RSAT 分離の瞬間の管制室の喜びの映像なども.こりゃあいいですねえ!


追記(2007-11-24):全部つなげた動画をかぐやスレの住人が作ってくれています.GJ!(BGM つき,字幕なしなど,いろいろなバージョンが他にもあるようです).


追記(2007-12-31):さらに追加されています.以下をどうぞ.

かぐや,きずなのコンデンサ逆付けは NEC が原因

詳細が報道されています.

NECによると、基板に記される「+」「−」の印字がコンデンサーに悪影響を及ぼすとの理由から書かれていなかったほか、特に注意を喚起する文章が手順書になく、ミスを誘発する条件が重なった。図面と電子部品の配置をみる外観点検は行われたが、部品ごとの個別確認が不十分で、ミスが見逃されたという。

それにしても,見つからないまま打ちあがっていたらと思うとぞっとしますねー.

各国の月探査最新事情

中国の嫦娥一号は順調に月を周回しているようです.一時期は,通信一時途絶とか熱暴走とかいう海外報道もあり心配していましたが,無事でなによりです.

インドのチャンドラヤーンは 2008 年の 4 月 9 日に打上げとのこと!

アメリカでは,次世代月ロケット・アレス I のブースターを地上で回収するためのパラシュート実験に成功したそうです.

ところで韓国もついに参入でしょうか!? すごいハイペースな計画が上がっています.

YM コラム「かぐや大ブレイクの予感」

YM コラムより.

 ここのところ、いわき(福島)、水沢(岩手)、佐治(鳥取)と相変わらずの旅烏でしたが、どこへ行っても驚くほど「かぐや」のことが話題になります。講演会場で「かぐや」のことを知っている人に手を挙げてもらうと、まず8〜9割おられます。これは「はやぶさ」の最盛期を圧しており、月と小惑星に対する「庶民の感覚の差」を物語っているのでしょう。

 また私だけが感じていることかも知れませんが、「はやぶさ」のときは、傾向としては「すごいことをやっている」という感じだったのが、「かぐや」については「あんな映像を送ってもらって有難う」という感じなんですね。どうでしょうか、この微妙さ。「かぐや」では、「はやぶさ」のときにあった「日本の技術への誇り」に加えて、自分と一体になった感想がほとばしり出ているのだと思います。

一般のかぐやに対する関心の高さは管理人も強く感じています*1.明らかにはやぶさの時を上回ってますね.なんといってもハイビジョンの力は大きいと思います.そういう意味で,先見の明のあった的川先生や,特番を組んでくれた NHK に負うところが大ですが,それだけでなく,JAXA 広報とメディアの双方が成熟してきたというのもあるのでしょう.

*1:例えば管理人が現在いる職場は宇宙開発に対してまったく無関心な人間の集団なのですが,先日一人が「地球の出」の画像を PC の壁紙にしているのを発見しましたw.

かぐやプロジェクトサイトの英語ページがひどすぎる件

自分のことはあえて棚にあげますが,ちょっとこれは海外に対して恥ずかしいなあ.文法レベルで壊れています.JAXA の方,ご確認お願いします.


追記(2007-12-09):おお,改善されているようです!お疲れ様です.

かぐやのフル HD 画像を配布しない NHK の姿勢に各地で疑問の声

かぐやの撮影したフル HD 画像がなぜ配布されないのかについて,回答が載っていました.

■インターネット上で「地球の出」などを、フルハイビジョンで公開
しないのはなぜですか?

フルハイビジョンの映像に関する著作権宇宙航空研究開発機構
(JAXA)と日本放送協会(NHK)の両者に帰属し、インターネット上での
フル解像度の公開は行わないことで合意されているためです。

これに対し,かぐやスレなどでは反対意見が続出.NHK にメル凸する人も出ています.管理人個人としても,公開しないのは JAXA にとっても日本にとっても大きな損失であり,むしろマイナスではないかと思っています.

さらに宇宙開発に関する海外の掲示板 ummannedspaceflight.com (UMSF) でも,みな大変失望して久々に大談義になっています.自分が見たいということよりむしろ,「公開すれば日本の宇宙開発の追い風になるのに」とか「結果的には劣化コピーが流通するだけで,かえって JAXA が撮ったという情報が失われる危険がある」とか「日本国民の税金で打ち上げているのだから NHK が独占する権利はない」とか,すごく建設的な論を張ってくれています.

松浦さんもさっそく日経 BP で,NHK に対して抗議姿勢をとっています.論点がまとまっていて非常に興味深い記事です.

ところが、宇宙航空研究開発機構JAXA)とNHKは、肝心のハイビジョンクオリティの動画像を、ネットで公開することを許可しなかった。マスメディアの報道向けにHD-CAMテープに収録されたハイビジョン画像が配布されたものの、ネットでの公開は480×270ピクセルに縮小した画像のみ、それも可能な限り一般ネットユーザーがローカルにダウンロードできない形式で公開することという制限が課せられた。

「かぐや」の価値を一般に広く広報しなければならない立場のJAXAは、ネット公開をむしろ希望していた。渋ったのはNHKだった。しかし、この処置は2011年のアナログ放送停波とデジタルHDTV(高精細テレビ)放送移行を控えたNHKにとっても有害無益だったのではないだろうか。

公開を渋ったNHKにより、日本という国も、JAXAも、NHK自身も、そして何より素晴らしい画像に触れ損なった日本を含む世界中の人々が損をする結果となった。

NHKは、この件に関して、「放送局としてコンテンツは放送で提供する」という態度を取っている。海外についても「海外の放送局に素材を提供する」としており、ネット公開には否定的だ。

色々聴いていくと、NHKが公開を渋った理由は、「安易にコピー可能な形でネット流通させると、取得画像を使ったビジネスがしにくくなる」という危機感にあったようだ。

追記(2007-11-24):L/D に補足記事が出ています.

この件に関しては様々な話を聞いたが、ひとつ言えるのは実際に現場で働いている人は例外なくネットで公開できればと考えていたということだ。

UMSF では海外から(NHK の日本人用投稿フォームに苦労しながらも) NHK に意見を送る方も出始めています.

Foe & Nop, I sent what I could on that form (which is REALLY tough to get right using non-Japanese ASCII; had to insert a whole bunch of spaces!) Anyhow, here's what I wrote:

I am disappointed at the fact that KAGUYA's HDTV products are not being distributed publicly. The entire purpose of this instrument is public outreach, and NHK is doing JAXA a severe disservice by failing to publicize this accomplishment and thereby building public support for funding such missions. Furthermore, there is substantial international interest in the mission; therefore, NHK is missing an opportunity to market itself overseas, which may be an unwise business decision.

If anybody wants to copy & paste & send it again, feel free.


追記2:ディスカバリーチャンネルカナダはネット上で HD 動画を公開してくれてますね!

カナダ国内限定なので,もちろん我々は視聴できませんし,UMSF でも「なんでカナダ限定なんだゴルァ」って意見が出てましたが.

でもまあ,ともかくカナダ国内だけでも HD が見られるようになったとすると,非正規な動画がネットに出回るのは時間の問題でしょうね.そうなると NHK の囲い込みはまったく無意味となります.というかむしろ,正規に HD 動画を配布するよりも悪い結果となります.


追記3:あー,なんかカナダの動画は視聴できないこともないみたいですけどね…げふんげふん.
それから,取得画像取扱いに関する文書について別エントリに追記しました.

「宇宙工学入門」「宇宙工学入門 II」

宇宙工学に関する,非常にわかりやすい良書です.

宇宙工学入門―衛星とロケットの誘導・制御

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宇宙工学入門〈2〉宇宙ステーションと惑星間飛行のための誘導・制御

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以下,ネタバレ含みます(専門書にネタバレも何もありませんがw).

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