小惑星に対する YORP 効果が確認される

欧州南半球天文研究機構(ESO)は,2000PH5 という小惑星の自転が YORP 効果によって加速していることを観測によって確認したそうです.

YORP 効果については,ISAS 北里宏平さんの記事

に詳しいですね.小惑星のように不均一な形状の天体において,太陽輻射圧と熱放射によって回転力が生じ,自転を速くしたり遅くしたりするという現象のようです.この 2000PH5 の場合,1 年に 1 ミリ秒ずつ自転が速くなっており,どんどん速くなってそのうちばらばらになってしまうかも知れないとのこと.なお,YORP というのは 4 人の科学者の頭文字をとったもので,Y は先日紹介したヤーコフスキー効果でおなじみのヤーコフスキーさんです.

イトカワについてももちろん以前から YORP 効果の有無が検討されています.イトカワの場合は遅くなる方向に働くみたいですね.最新の報告でははやぶさのデータが使われています.

ちなみに Technobarn の記事

この太陽光による小惑星の自転を「ヤルコフスキー−オキーフ−ラジエフスキー−パダック(Yarkovsky-O’Keefe- Radzievskii-Paddack=YORP)効果」と命名した。

というのは間違ってますね.YORP 効果という名前は昔からあったもので,今回はそれが実際に起こっていることを確認したという話.