日本学術会議が IAU に惑星の定義の再考を要請することを決定

朝日のニュースでは「『準惑星』という名称を教育現場で推奨しない」という点が強調されていたので,陰でこんな重大なことが起こっているとは知りませんでした.

国際天文学連合総会では、惑星の定義に付随してdwarf planet が新たなカテゴリーとして提案・採択されたが、自己重力で球形をなすという外的形態を主要な基準とした結果、判定上のあいまいさが残ることとなったことが指摘された。さらに、最近理解が進んだ太陽系形成論も考慮する場合、成因が異なると思われる天体(ケレスと冥王星、エリス)が含まれることで、太陽系天体の一つのカテゴリーとしての性格付けが困難になり、また、TNO と火星・木星間のいわゆる小惑星帯の理解を混乱させるもとにもなり得ると、指摘されている

現在の太陽系形成論では、火星・木星間を中心とするいわゆる小惑星帯の天体は、原始惑星段階まで進みながら、外側を動く木星の作用で原始惑星同士の衝突の可能性が増したことなどにより衝突破壊されたものの残存物が主であると考えられている。いっぽう海王星以遠の太陽系外縁天体(TNO)に関しては、原始惑星に成長する以前の微惑星段階で成長が止まったものとする見解が、強まっている。

具体的には、dwarf planet の定義における「自己重力で球形をなす」(IAU 決議5A-2)に加え、直接観測による判定が比較的容易である直径を基準とする案を検討中である(例えば直径1000 ㎞以上であると判定されたものとするなど)。仮に直径1000 ㎞以上とすると冥王星とエリスは残るが、小惑星帯のケレスは外れることになる。いっぽう「自己重力で球形をなす」だけでは、流体力学的判断に内部構造の情報も必要になるところから、小さな球形天体の混入を防ぐことが困難である(実際、直径3.5km の球形小惑星の存在が報告されている)

いやあ,面白いですねえ.学生の頃に習った太陽系の知識が吹き飛んでしまいそうなくらいに,ここ 10 年くらいで太陽系像がずいぶん変わった気がします.