「轟きは夢をのせて―喜・怒・哀・楽の宇宙日記」

宇宙研一般公開の日ということで,宇宙研の「顔」,的川先生の著作です.

轟きは夢をのせて―喜・怒・哀・楽の宇宙日記

轟きは夢をのせて―喜・怒・哀・楽の宇宙日記

以下,ネタバレ含みます(ネタバレも何も,全文ネットで公開されていますが…).

本書は,的川先生が日本惑星協会のメールマガジンで毎週執筆されている YM コラムのうち,創刊号から 2004 年 12 月 22 日分までを一冊にまとめたものです.バックナンバーは全文

で公開されているので,別に本書を買わなくても内容はわかるのですが,管理人が買ってよかったと思った点は以下の 2 つ.

まず,多数の図版や脚注が追加されていること.かなりのコラムに関連する写真や図がついており,宇宙開発史の貴重な一コマだったり,理解を助ける図解だったり,宇宙研やイベントのユーモラスな情景だったりして,コラムに華を添えています.カラー口絵にはさまざまなロケットや衛星の美しい写真が収録されています.

次に,大量のテキストをまとめて読めること.ネット上のバックナンバーはどうしても大量に読むのには向いていませんが,書籍だとまとめて一気に読んだり,あるいはぱらぱらとめくって面白そうなところだけ読んだりといったことが気軽にできます.管理人はまだ最近の宇宙開発の知識に乏しかった頃に本書を買い,通読することでここ数年の情勢を一通りおさらいすることができましたが,1999〜2004 という日本の宇宙開発史でも相当暗い時代の雰囲気だけでも追体験したような気になりました.

本書を書かれたきっかけは,あの「はやぶさ本」を書いた吉田武氏に薦められてとのこと.次作が出るとすれば,ちょうど同量のコラムが溜まる来年末頃でしょうか?ぜひ続刊をお願いしたいところです.

追記:Amazon のただただしさんの書評

にあった,本書からの抜粋(M-V-4 がコネクタの緩みで打上げ延期になった時のコラム).

機械がこんなに頑張るのですから、せめて人間が気をつければ防げるケアレスミスだけは、ロケットの打上げにはあってはならないことなのです。

かぐや打上げが延期された今,この言葉を反芻しています.