SELENE-2,中国を意識して事実上 2012 年打上げ目標

朝日新聞の 10/31 の記事によると,SELENE-2 は中国を意識して事実上 2012 年の打上げを目標としているようです.また,SELENE-X は当初のサンプルリターンに加えて着陸機の大型化や建設作業ロボット実証を検討しており,国際協力の場での発言力を増すねらいがあるとのこと.

さらに月探査に関しては JAXA は米国主導の「国際協力」に参加の姿勢を示していますが,宇宙開発委員会の委員のあいだでは「これ以上米国に振り回されたくない」という声も根強いようです.

かぐやスレに全文がうpされています.以下,適当に抜粋.

 セレーネ2がもともとねらっていたのは科学的なデータだ。アポロが調べていないクレーターの中に初めて入り、詳しく地質を調べて月の起源に迫るはずだった。
 しかし、宇宙機構はいま、実用的なデータを優先して計画を軌道修正しつつある。国際協力で月面拠点をつくることを想定し、その有力な候補地となる月の南極への着陸を検討している。
 報告書が「2010年代半ばまで」とする打上げの時期も、実際には12年が目標だ。この年に着陸をめざす中国の無人探査機「嫦娥2号」に先を越されたくない、という意識がある。

 一方、セレーネ2に続く「セレーネX」は、月の石や砂を持ち帰るのが当初の構想だった。
 宇宙機構は最近、「セレーネ2よりも大型の着陸機をつくる」「月面での建設作業用のロボットの実証をする」という二つの案を新たに加えた。月面拠点づくりに欠かせない物資の輸送や作業のノウハウを手にし、国際協力の場で発言力を確保するのがねらいだ。

 「ここまで書くのはおせっかいでは?」
 「いや、『中心人物』がどう動くかで、我々も大きな影響を受ける」
 米国の探査計画について、「次期政策にも継承されると予想される」との文言を入れるか否かをめぐり、委員の意見が対立する場面があった。
 日本の有人の宇宙開発は、米国主導の計画に加わる形だった。20年あまり、スペースシャトルの引退や国際宇宙ステーション(ISS)の規模縮小など、重要な節目で米国に振り回されてきた。関係者の間には「苦い経験を繰り返したくない」との思いがある。今後の月探査は、どんな構図になるのか。
 ブッシュ大統領は04年の「新宇宙戦略」で、20年までに月に飛行士を送ると発表。06年には、国際協力での月面拠点づくりを提唱した。費用や技術開発を各国に分担してもらうのがねらいだ。
 宇宙機構の立川敬二理事長は「世界の宇宙14機関で検討を進め、うまくすみ分けたい」と、米国主導の「国際協力」に参加する姿勢を示す。
 だが、委員の間では、政権交代や議会の反対にともなう米国の突然の路線変更を懸念する声が根強い。報告書は「我が国の主体性と独自性を発揮できる課題を見定める」と強調した。
 人の輸送では今後の米国に頼らざるをえない日本にとって、他国の事情に振り回されない「主体性」や、日本が得意とするロボット技術を磨くなどの「独自性」をもつことが課題となる。

 松尾弘毅・宇宙開発委員長は「今後の月探査は純粋な科学とは違い、技術獲得や先進国としての地位の維持がからむ。火星探査でも同じだろう」と話す。

いっぽう,読売新聞の 11/4 付の記事では,日米の月探査ローバの記事がかなり詳しくのっていたとのことです(かぐやスレにうp画像あり).無限軌道と車輪の両方を開発中とのこと.前者は航技研のライトクローラのようで,やはり将来の月面基地建設での重機としての利用を期待しているそうです.後者は柔軟性を持ち楕円形にゆがむ車輪を採用し,登坂性能を向上させているそうです(宇宙研のマイクロローバ??).