はやぶさビデオ「祈り」ついにウェブ公開

はやぶさミッションを紹介するビデオ「祈り -小惑星探査機 はやぶさ の物語-」が,11/23 についにウェブで公開されました!!(実際には 11/22 夜からのフライング公開)

BGM はおなじみ甲斐恵美子さんの Lullaby of Muses.CG 製作は LiVE さん.以下には静止画ギャラリーもあります.

高画質の FLV のほかに,WMV やポッドキャストでの保存も可能.DVD に付属する冊子も PDF で公開されています.素晴らしい太っ腹ぶりです.英語版もあるのはいいですね.海外の UMSF.com の人達も絶賛してくれていました.

2008 年春には DVD も発売予定です.

というわけで,管理人も早速拝見しました.

CG のクオリティの高さは白眉です.イトカワ表面をかすめるようにして飛行する様子や,ミネルバ放出シーン,タッチダウン時のバウンドなどのカメラワークに言葉もありません.はやぶさと一緒にイトカワ上空を自在に飛んでいるような臨場感.しかもこれらの驚くべき映像は単なる想像図ではないんです.なにしろ,軌道はもちろんスラスタの噴射回数まで正確に再現されているくらいですから.まさに 2 年前のあのとき,イトカワの表面で実際に起こった事象と思ってよいようです.そう考えると,いかにこのミッションが難易度の高いものだったかをあらためて実感しますね.

擬人化に関しては好き嫌いがわかれるところですがw,今回はかなりライトな擬人化であざとさのようなものがあまりなかったので,非常によかったと思っています.むしろ,はやぶさの国民的人気のかなりの部分が「感情移入」によって支えられていることだとか,子供さんや女性の方々へのアピール力を考えると,こういう要素はある程度は必要だろうと思います.

エンドロールですが…やはり涙しました.誇張でなく本当に泣いてしまいました.大の大人が昼間っからなに泣いてるんだって感じですがね."Special thanks to" にあった「2ちゃんねるはやぶさ』関連スレッド」「JSpace」「はやぶさまとめ」の文字はやっぱり何度も確認してしまいましたね.こっちは勝手に好きでやっているだけのオタクサイトに過ぎませんし*1,中の人が知ったら本気でキモがられそうなサイトですが,図らずも名前を載せていただいたこと,傲慢にも中の人と同じ地平に立たせていただいたことは,正直心の底から嬉しかったんです.まとめサイトを作ったことは少しでも意味があったのかなと思えた瞬間でした.本当に本当にありがとうございます.

でも実は,思わず涙が出たのは自分が載ったからではないんですよ.それに先立つ場面,エンドロールに流れる運用室の一コマ一コマ,そして何百人もの関係者の名前.その重みが涙腺を刺激したのでした.はやぶさを設計し,技術を開発した方々.サイエンスに関わった方々.M-V-5 の打上げに携わった方々.日々の運用当番の方々.開発から運用まで面倒をみておられるメーカーさん.国内外の共同研究者の皆さん.広報に尽力した方々.事務・総務で彼らを支えた方々.学界の方々.メディアの方々.有形無形の応援をささげた方々.ネット上で見慣れた名前がたくさんありました.個人的にお会いしたことのある人々のお名前もありました.彼らのはやぶさに対する熱い思いは痛いほど知っています.そして恐らく同じような思いを持っているであろう,膨大な人数の見知らぬ人々の名前が流れてゆきました.次々と流れる彼らの実名を眺めているうちに,この数百人の一人一人がはやぶさにそれぞれ何かを託してここまできたのだということ,それらを確かに背負ってはやぶさが飛んでいるのだということを,ぼんやりと考えました.もちろんここには挙がらなかった 88 万人の方々の思いもあの機体には詰まっているはずです.それから,運用室や管制室で働いている方々のふと見せる表情に運用チームとしての誇りと真摯な思いを垣間見たときに,あらためて強く感じたのです.ビデオ前半で堪能したあの驚くべき GNC の陰にいるのは紛れもなく彼らなのだと.自律探査機はやぶさの一挙手一投足は彼らの意志の発現であり,数百人の思いを背負って探査機を動かしているのはシステムでなく人なのだ,ということを強く噛み締めながら,目頭を押さえつつ的川先生の V サインを眺めているうちに,「はやぶさまとめ」の文字が通り過ぎてしまってあわてて巻き戻したというのが真相です(笑).

そしてはやぶさだけではなく,どんな宇宙機にも,このようなドラマがあるし,同じくらいたくさんの人々の思いが詰まっているわけですよね.宇宙開発が巨大事業であり,膨大な数の人間が関わる以上,託されるものの重みは相当なものです.まして宇宙探査においては未知の深宇宙へと向かう一種独特のベクトルがそこに加わります.人こそが探査のドライビングフォースである.管理人がとかく探査に感じ入るのはそういう側面も大きいかも知れません.

ともかく,はやぶさに関わるすべての方々に最大限の感謝を.


うーん,ちょっと呑み過ぎましたかねwwでは次行きましょう.

*1:非オタの方々向けにも情報を発信していきたいのはやまやまなのですが,その力量も時間も不足しています.今はマニア向けのニッチ情報を流すだけで精一杯ですが,でもいつかはやはりもう少し広い視点ではやぶさや日本の宇宙開発の情報を発信していければと思っています.