かぐやのハイビジョンカメラ取得画像の取扱いに関する文書等

かぐやスレの 974@Part7 氏が,NASDA 時代のプレスリリースから貴重な資料を発掘してくれました.ここに「SELENEカメラ取得映像の取扱いについて」という資料が別添でついています.

SELENE搭載カメラによって取得された映像は、原則として国内外の機関に速やかに公開されます。取得映像の取扱いの詳細は次の通りです。
1. 取得映像の自己利用

  • 宇宙研、事業団及びカメラ提供機関(以下「三者」という。)は、自らの判断で、取得映像を自らの業務に使用する(以下「自己利用」という。)ことができます。この場合、必要に応じて取得映像の第三者への開示、第三者による編集等を行うことができます。但し、関連会社が主体となって取得映像を利用する場合は、自己利用ではなく第三者利用と見なします。

2. (取得映像の)報道目的での利用

  • 取得映像は、報道目的のために速やかに公開することとします。
  • 取得映像の報道機関への提供は、三者いずれもが行うことができます。
  • 取得映像は、その品質に係わらず公開することとします。

3. 報道目的以外の第三者利用

  • 三者(報道機関を含む。)から、宇宙研又は事業団に報道目的以外の映像使用要請があった場合、宇宙研又は事業団は、第6項に定める営利目的の使用でないことを確認するとともに、カメラ提供機関に事前に了解を得て当該第三者に映像を提供することとします。
  • この場合、カメラ提供機関は、第三者から使用要請があった時点において、当該第三者からの番組企画内容とカメラ提案機関が企画中の番組内容が極めて酷似しているか、放送日時が極めて近いと客観的に判断できるとき以外は、当該第三者に対して映像の使用を承諾することとします。
  • カメラ提供機関に同様の映像使用申請があった場合、カメラ提供機関は第6項に定める営利目的の使用でないことを確認するとともに、当該第三者への映像提供について、宇宙研及び事業団に通知することとします。

4. 学術研究、教育普及等の第三者利用

  • 三者は、国内外の公的機関等による学術研究、教育及び普及啓発を目的とした映像の使用については、自らの判断で映像を提供できることとします。

5. 営利目的での利用

  • 三者又は第三者かを問わず、取得映像の営利目的での利用は、この取決めの範囲外であり、必要に応じて、三者で別途協議される合意に基づき実施されるものとします。ただし、カメラ提供機関自らの放送番組の製作及びその放送については、自己利用と見なします(関連会社による映像ソフトの販売等は除く)。

6. 取得映像使用時の協力者表示について

  • 取得映像使用時は、三者により取得されたものである旨の表示を行い、第三者による利用の場合には、これを義務づけることとします。

募集時の要項なので実際の取り決めがどうなったのかは不明ですが,うーん,これをどうとらえるかですね.この時点ではあまり NHK の権限は見えてこない感じですが.

ちなみにこの公募の経緯は宇宙開発委員会の議事録に多少残っています.

実は大きな問題として資金面ですけれども、実はNHK等が搭載にかかわる追加の費用についてはすべて、カメラ提供者が負担するということを前提に話を進めております。

宇宙研とNASDAと提案機関、ここはわかりませんけれども、その3者で協定を締結します。それから、非常に大きな問題として、取得したカメラの取得映像の取り扱いについても、覚書を3者で取り交わしたいと思っております。

【 井口委員長 】 いつでも撮れるんですか。

【 加藤 】 やはりすごい量なんで、大体30分。1分間、衛星でためたものを約30分ぐらいの時間をかけて下へ持って来ます。それで、ほかのミッション機器も14個ありますので、そういうことで中でうまく運用してやると。なるべく撮影は初期にやってしまいたいと思っております。

【 栗木委員 】 SELENE本体をオビットしているわけですけれども、出てくるときに動画という感じの地球画像が出てくるスピードと自分が動いているスピードとで、どんなぐあいに見えるんでしょうか。結局はコマ撮りのような感じになってしまうとか。

【 加藤 】 1分間にグーンと地球が上がってくる。こういう感じになります。

【 栗木委員 】 そんな感じになるんですか。

【 加藤 】 はい。大体撮像時間が1分間ですから。

【 栗木委員 】 そうすると、かなりダイナミックになると。

【 加藤 】 だから、ハイビジョンで、意味があると思います。

【 川崎委員 】 SELENE衛星本体の振動は無視できるんですかね。結果として映像上からは。

【 長島 】 それはもちろん大丈夫なんですけれども。画像処理の方で、そういうのはものすごくお得意らしくて、任せてくださいと言ってました。

【 栗木委員 】 脱線した質問かもしれませんけれども、宇宙科学研究所の科学者なんかは、何かこのカメラによる取材というのに興味を持っていますか。

【 長島 】 サイエンスとしてどう役に立つかというのは、なかなか難しいところがあるのですけれども、実際映像を取得すれば、それをサイエンスに利用することができると思いまして、そういうことでも、宇宙研は非常に乗り気になっております。

【 井口委員長 】 応募が結局はNHKだけということですので。

【 長島 】 まあ、予想どおりだったのですけれども。