R25 に毛利衛さんのインタビュー

東京圏の駅構内で配布されているフリーペーパー R25毛利衛さんのインタビューが載っています.以下で全文が読めます.

「言葉では通じない部分もあるんですが…。“うまくいく”想定のことなんてほとんどしません。“ありえない”状況を持ってきて、それ以外の余裕を与えない。そうしたシナリオを次々とこなしていって、条件反射的に対処できるようになるまでやり続ける。プロ野球選手が苦手な球種を克服するのと同じです。頭で考えていては手遅れになる。いろんな条件をいくつも出されて瞬間的に判断してゆく。うまくいかなかったら、それで終わり…トレーニングでは何度も私、大西洋に突っ込んで死にました(笑)。でも不思議なことに、何度もリセットボタン押して、3カ月もやってれば、だんだんできるようになってくるんです」

「まずビッグ・ピクチャー…プロジェクト全体からどんな成果を得られるのかを定義します。最初と最後のスケジュールを決め、そこから逆算し、ここまでに何をする、ここまでに何をする…ということを全部はっきりさせていくんですね。関わる全員の役割をすべて定義する。そうして達成できない場合はクルーを代える。“ゴーかノー・ゴーかわからない状態”を絶対に残さない。判断に迷うから。そうすると、次の手が打てなくなる」

「でも、われわれは宇宙に行くのに適応した人たちであって、地上でサポートする人たちは別のすごい適応能力を持ってるんです。コンピュータをすごく使いこなせるとか、起きないかもしれない事態を想定して、不具合を起こせるとか。われわれは全部うまくいくと考えたいんだけど、世の中には“こんな故障や、間違いが起きないとは限らない”って、ありえないような状況を考え出すオタクで心配性の人もいるんです。NASAではそんな人が優秀な仕事をします」

32歳で講師に、34歳で助教授となり「論文も100篇超えてたし、そのままいけば教授だったでしょうね。先は見えていた。そんなの面白くないじゃないですか」。

「クルーはいつも楽観的。助かることしか考えない。だけど、地上の人は心配性な方が仕事ができる。世の中ってそんなもんです。いろんな人がいて初めて全体がうまくいく。だから自分を否定しちゃいけない。仮に暗いと言われても、それは下積みもできる耐性なのかもしれない…という考え方自体が宇宙飛行士の楽観性なのかもしれないけど(笑)。ホント、大丈夫、自分を信じて何かを求める努力をすればね」