はやぶさの成果が取材禁止になった経緯

先日のエントリで触れましたが,昨年,はやぶさ初期成果が「学会では発表されたがメディアによる個別取材は禁止された」という話がありました.この措置はメディア側の人々には大変不評だったようで,当時毎日新聞の須田桃子記者が「探査機はやぶさ:成果、米サイエンス誌が取材規制 影響力に研究者追随」という記事を書いていますし(リンク先は消滅),先日の宇宙探査シンポジウムでも読売新聞保坂科学部次長が「隠蔽である」として批判しています.以下はシンポジウムで配られた冊子に記載されている保坂さんの主張です.

 第二に、研究の成果を学会内で秘匿しないこと。学会の口頭発表はすでにパブリックなもの、つまりだれもがアクセスできるものという考え方が日本でも米国でも常識だが、「はやぶさ」の成果については、学会では発表してもメディアには隠すというねじれが生じて問題になった。

これに対し,JAMSTEC の研究者の方がブログで反論されていまして,

だいたい主要な論点が言い尽くされているのですが,一点だけ補足しておきたい点があります.
それは,「当初の見込みでは Science 誌掲載後に学会発表の予定だったのが,Science 誌の掲載の遅れにより,今回のようなごたごたが起きてしまった」という点です.

この「掲載の遅れ」の件は,Science Portal ニュースで触れられています(URL が変更になっています).

今回のケースは、論文掲載時期が研究者たちの見込みより遅れ、学会発表の後になってしまったことから起きた。

1 月頃の akiaki さんのブログ

で,

初期成果論文がサイエンスにもうすぐ投稿されて、3月とか4月には出ると思うんだけど、

という話が出ています.実際の論文を見ると,投稿時期は 2 月上旬〜中旬,受理時期が 4 月上旬〜中旬ですね.昨年 4 月の「宇宙科学講演と映画の会」では,5 月下旬〜6 月頃に掲載という目測が出ています.一方,5 月に開催された日本地球惑星科学連合大会の予稿締切は 2 月上旬頃だったようで,恐らく Science 誌とほぼ同時に投稿されたと思われます.そしてこの時点では,多分 Science 誌のほうが先に出るという憶測があったのではないでしょうか.

まあ,以上は外野の人間の完全な憶測ですが.ていうか何を言いたいエントリなのか自分でもよくわからなくなってきたぞ.


ちなみに,Science 誌の embargo policy は以下.