朝日新聞に国際宇宙探査京都ワークショップの合意内容の報道

最近朝日新聞は妙に探査ネタが多いですね….オンライン版には載っていませんが,3/20 夕刊科学面にかなり大きな記事が載っていました.

月探査,各国 違い残る
日米欧中など国際協力基本合意

 月・惑星探査の国際協力に向けた基本合意が,日米欧中などの14宇宙機関が参加して京都市で開かれた会合で9日にまとまった.国際協力を主導したい米国と,参加国の自主性を重んじる欧州や日本との3年間にわたるかけ引きの成果だった.中国や日本などによる月探査実施が目前に迫るなか,今後の協力に向けて歩調をそろえた意義は大きいが,立場の違いは残されたままだ.(嘉幡久敬,高山裕喜)

それぞれの自主性尊重を明記

 「国際協力による探査とは各国が独自に実施する探査の総和である」

 まとまった合意文書案では,各国の自主性を尊重する考え方が明記された.出席した宇宙航空研究開発機構宇宙機構)月・惑星探査推進チームの佐藤直樹・副事務局長は「日本の提案を盛り込ませるのに成功したと考えている」と胸を張った.

 合意では「宇宙探査は人類の将来に不可欠」とした上で①科学技術の知見を得る②人類の活動領域を拡大する③新たなビジネス機会を創る――などと意義を強調.月を「人類が別世界に恒久的に住むことを学ぶ最初の天体」,火星も「大気と水を有し,生命の存在を探求する場所」などと位置づけた.今後,恒久的な国際調整の仕組みの構築を目指すという.

 米国が昨年12月に提案し,各国に参加を呼びかけた月面の国際基地構想は今回,議論に上らなかった.米航空宇宙局(NASA)探査システム部のギルバート・カーカム部長は,会合後の会見で「われわれが示したのは自前の計画だ.月探査への国際的な関心の高まりは理解している」と述べて,米国の構想にこだわらない姿勢を示した.

 合意作りは,04年1月に米ブッシュ大統領が,月・惑星探査に力を入れる方針を打ち出した新宇宙計画の発表が発端だ.同年11月,各国の担当者をワシントンに招いた会合で,NASA側は「ゴールは見えないが列車は出る.乗るなら今」と呼びかけた.

 この発言を警戒したのが欧州宇宙機関(ESA)だ.欧州は月よりもむしろ,火星以遠の無人科学探査に力を入れてきた.米国主導の国際宇宙ステーション計画では,スペースシャトル事故の影響を受け,計画が大幅に遅れたという苦い教訓もある.日本の宇宙機構も参加国の自主性を重んじる点で,欧州と歩調を合わせてきた.

 立場の違いにもかかわらず合意文書をまとめたのには,各国の国内向けアピールという意味合いが強い.会合では「宇宙予算が目減りする中,メディアや政治家に探査の意義を訴えたいのは各国共通の事情」との声が聞かれた.

 米国は今回の合意で,旗を降ろしたわけではない.会合に先立つシンポジウムで,NASAのマイケル・グリフィン長官は,14年の初飛行を目指して開発中の有人宇宙船「オリオン」と打ち上げロケット「アレス」を月探査の核とし,「各国の飛行士も乗せる」と,人と物資の輸送を一手に握る考えを表明した.

 一方のESAは,ジャン・ジャック・ドーダン長官が,独自の有人輸送システムの開発をロシアと検討する方針を明らかにし,「国際協力は一人ひとり(各国)に有益であることが大事」と改めて指摘した.

 今後の焦点は,米国の構想に代わる探査の具体像を,国際協力でどう描くかだ.この作業への参加を募る昨年12月の会合では,NASA,ESAのほか日本,カナダ,イタリア,フランス,そして中国が,最後に手を挙げた.これらが今後,国際協力の核になていく可能性が高い.

 3年前から議論にかかわってきた宇宙機構の松本甲太郎・月・惑星探査研究領域リーダーは,「国際協力について行ける国,ついて行けない国の最初の選別が始まったのかもしれない」と話す.

嫦娥1号」打ち上げ予定の中国
国際協力は様子見の姿勢

 中国は月探査を目的とした「嫦娥1号」を年内に打ち上げ,月周回を実現させる予定だ.一連の嫦娥計画では,12年に月着陸を成功させ,17年には月から試料を持ち帰ることを打ち出している.

 こうした中国の宇宙開発は,国家計画に従って着実に進めるのが特徴.昨年10月発表の中国宇宙白書でも,嫦娥計画に触れ,月の科学探査と資源探査が目的だとした.

 今回の京都であった会合には,中国の宇宙機関である航天局ではなく,科学院宇宙科学応用研究センターの幹部が参加.公表されている嫦娥計画以上の発言はなかった.

 中国の宇宙開発に詳しい稗田浩雄・未来工学研究所理事は「中国は独自の月探査計画を進めている.どんな協力が求められるかはっきりしておらず,様子見の姿勢だったのだろう」と分析する.

 とはいえ,国際協力が視野にないわけではないようだ.「1月に実施した衛星破壊実験で非難を受けたこともあって,国際世論には敏感になっている」と稗田さん.国際協力の枠組みが具体化すれば,積極姿勢に変わる可能性もあるという.(平子義紀)

だそうです.アメリカの有人基地の件は各国スルーですか…w