朝日新聞に蓋閉め運用の記事

朝日新聞 4/20 朝刊,サイエンス地滑り論文と同じ紙面に,もうひとつはやぶさの記事が載っていました.全文うpしてくださった 720@Part25 さん,ありがとうございます.

720 Name: 名無しSUN [] Date: 2007/04/21(土) 02:56:50 ID: BFcVyslt Be:
ここらへんの話も面白かった。
まさに綱渡り状態・・、よく未だに望みが途切れてないよな。
奇跡というか、関わってる方々素晴らしい。

2007年(平成19年)4月20日 朝日新聞・朝刊25面
■一時は電力尽き・・・2ヶ月かけて再充電/カプセルへの収納に工夫 はやぶさ
 探査機「はやぶさ」は来週にも地球へ向けて出発する。小惑星イトカワへ着陸して約1年半。これからの長旅の準備で最後の山だったのは、イトカワで採取に挑んだ試料の容器を、地球へ届けるカプセルに納める作業だった。(福島慎吾)

 宇宙航空研究開発機構によると、1月下旬の作業には内蔵するリチウムイオン電池の電力が使われた。イトカワ着陸後に壊れ、「使えば発火する恐れもある」(プロジェクトマネジャーの川口淳一郎教授)と懸念されていた電池だ。
 トラブルの発端は化学エンジンの故障による姿勢の乱れで、はやぶさ太陽電池パネルを太陽に向けられなくなった。すぐリチウム電池に切り替えたが、姿勢が安定する前に電池の電力が尽きて通信も途絶えた。
 昨年1月未に通信は復旧し、11個ある電池の四つが破損しているとわかった。電極が溶けてショートした可能性があり、正常な電池も含めて再充電できないと判断された。しかし、出発前に試料容器をカプセルへ納めるにはリチウム電池が必要だった。そこで電池担当の曽根理嗣・助教授は温めていた腹案を試した。
 実は通信復旧後のはやぶさは正常な七つの電池が再充電されていた。曽根さんは「地上からの指示がないと再充電しないはず。不思議だった」と振り返る。
 製造した古河電池NEC東芝スペースシステムの技術者と検証し、バイパス回路からわずかな電流が各電池に漏れており、この回路を使えば少しずつ充電できるとわかった。結局、通常なら1日で終わる再充電に2ヶ月をかけた。
 神奈川県相模原市にある管制室は、カプセルへの収納が確認されると拍手に包まれたという。「打ち上げ以来、初めて動かす機器もあった。無事に機能して大変うれしい」と川口さん。
 とは言え、円盤を回して姿勢を整える装置2基は故障し、残る1基がいつまで持つか不安を抱える。帰途に太陽電池の発電量が下がったり、通信が難しくなったりする時期もある。飛行が順調なら3年後、カプセルは機体から切り離され、豪州の砂漠で回収される。

再充電の話は面白いですね.運が良かったといえばそれまでなのですが,それだけで終わらせないのが宇宙研のすごいところです.

来週にも地球に向けて出発とのこと.帰途の無事を祈ります.

それにしても,なんかプロジェクト X みたいな書き方だなあ.福島慎吾記者,先日の大気圏再突入の記事といい,ツボをよく心得てますね(笑).最近朝日新聞の宇宙関連の記事の質が非常に高いのですが,きっとこの記者が頑張っているおかげでしょう.