JAXAi マンスリートーク「『はやぶさ』地球帰還に向けて」大盛況
5/29 に JAXAi で開催されたマンスリートークは清水幸夫さんによるはやぶさの話でしたが,大変な盛況だったそうです.JAXAi のページにその様子や質疑応答の内容が書かれていますが,このようなフォローアップは異例のことです.
5月のマンスリートーク、大盛況のうちに終了!
29日(火)に開催しました5月のマンスリートーク。
今回は宇宙科学研究本部のエンジニア清水幸夫が講師となり、満身創痍になりながらも、残されたイオンエンジンや太陽光の圧力なども利用した姿勢制御の方法をあみ出し、地球を目指して懸命に頑張っている「はやぶさ」と、それを支えるプロジェクトメンバーの取り組みを、臨場感たっぷりにご紹介しました。
当日は、過去最高となる80名を越える方々にご来場いただき、あわてて席をご用意するなど、お見苦しい点もございましたが、最後まで真剣な眼差しでお聞きくださった皆様の姿が、大変印象的でした。
ご来場の皆様、ありがとうございました。マンスリートーク はやぶさQ&A
【ご来場の皆様との質疑応答の様子】Q:「はやぶさ」の技術は次の惑星探査機に活かされますか?
A:コストダウンと高い信頼性を両立させた次期「はやぶさ」計画を検討中。早ければ2010年以降の打ち上げを目指したストーリーを描いています。Q:「はやぶさ」自身はどれくらいの速度で飛行しているのですか?
A:30キロ/毎秒程度で飛行しています。Q:再突入カプセルを切り離した後、「はやぶさ」本体はどうなるのですか?
A:まずは再突入カプセルを地球に戻すことが最優先なので、今の段階ではやぶさ本体がどうなるか、明言するのは難しいですが、地球に突入させずに利用できるようにしたいと思ってます。Q:「ミネルヴァ」にはなぜ着陸用の脚が無いのか?
A:イトカワの重力はとても弱く、10cm/毎秒以上のスピードで離れると、宇宙へ放出されてしまうのでごく微小な力で移動する必要がありました。ミネルヴァには携帯電話のバイブレータに使われているものとよく似た原理のバネが採用されており、その振動で飛び跳ねる仕組みとなっていました。
はやぶさスレにも詳細なレポートが出ました!
352 Name: 名無しSUN [sage] Date: 2007/05/29(火) 22:11:54 ID: mCDgqOOH Be:
わかったよ、飯食いながらレポってやるw・はやぶさのドップラー効果を利用した速度計測は
「はやぶさ側の」波長検知器が波長データを地球に投げることで
行っている
・はやぶさのキセノン質量は66kg。もしイオンエンジンでなく
液酸液水系エンジンで同じ軌道をとるなら700kgの推進剤がいる
・2005.09/04〜09/10の運用(イトカワから100km〜30km)では
理学チーム以外の人間が閉め出された。
この段階の写真だけでも万一外に漏れたら論文が書けたから。
・イトカワ内部は岩石と砂が地層状になっているのか、それとも
均等に混じっているのか?→均等に混じっているのではないかと思われる。
(※4月の『Science』オンライン版掲載論文の話か)
・秘蔵品:はやぶさタッチダウン時の連続写真の公開。
11/09の運用と11/25の運用の2種。
これは外に漏らすと
「比較的高速で時点する球状でない天体へのアプローチ」技術の
リークとなるため録画はNG。
(ただし過去のロケット祭りで公開されているw)
353 Name: 名無しSUN [sage] Date: 2007/05/29(火) 22:19:23 ID: mCDgqOOH Be:
・運用チームははやぶさの模型(ペーパークラフト?)を片手に
姿勢や軌道をああでもないこうでもないと考えている
・日本だけでなく海外からも応援の声が届いている。
運用メンバはそれを涙浮かべて読んでたりする。
こんなに応援してもらってる衛星は初めて。
すごく嬉しいけど、ものすごく肩にのしかかるものがあるw
・化学スラスタがダウンした後の「キセノン生ガスによる姿勢制御」は
割と知られているが、ジンバルを傾けてイオンエンジンを動かすことに
よる姿勢制御技術も手に入れた。
中和機からのガスはトルクのアームは長いが力が弱い。
イオンエンジンだとアームは短いが力が強い。
推進剤の効率を考え、イオンエンジンでの姿勢制御がメインになりつつある。
・現在の軌道は地球軌道よりも太陽寄り。06/08は近日点。
太陽電池出力が増えるのはいいが、リークしたヒドラジンが機内で凍ってたら
近日点付近で気体になって姿勢を乱す可能性がある。それが懸念材料。
・2010.06、オーストラリアには夜到着。
リエントリーカプセルが熱いのでカプセルからの電波の他に赤外線カメラも
使用してカプセル探し。
354 Name: 名無しSUN [sage] Date: 2007/05/29(火) 22:24:53 ID: mCDgqOOH Be:
・皆さんの応援を期待しています。【Q. はやぶさ後継機について】
今年の4月に「考えてもいいよ」という状態になった。
(※この話が公式に表に出るのはこれが初めてでは?)
はやぶさ2(※とはっきり言った)は科学者たちの希望だけで言えば
2010年か2011年に打ち上げたい。その次はもっと遠い所へ行きたい。【Q. はやぶさの最高速度は?】
イトカワの公転速度が 30km/s なのでそれくらい。
イオンエンジンを一方向にずっと動かしたなら数km/s になる。【Q. リエントリーカプセルを投げた後、はやぶさはどうなる?】
できれば地球から離れさせてボーナスミッションやりたい。【Q. ミネルバはどう跳ぶの?】
中に携帯電話のバイブレータみたいなのが入っている。
微小重力なのでその程度で跳ぶ。
イトカワの離脱速度が10cm/s程度なので、あまり勢いがいいと宇宙へ
去ってしまう。
355 Name: 名無しSUN [sage] Date: 2007/05/29(火) 22:30:57 ID: mCDgqOOH Be:
以下、ぶら下がり取材。・推進剤の減少やヒドラジンのリークではやぶさの重心や質量は
変わってしまったのでは?
→
いい質問。もちろん正確な質量は測定できないので、ときどき
エンジンを止めて姿勢、軌道の変化から重心や質量を推定している。
こまめにやりたい所だがエンジンを止めすぎて帰りに必要な加速が
できなくなっては元も子もない。ここは妥協と調整。・ボロボロの状態でボーナスミッション(できた場合)は何を?
→
イオンエンジンの連続稼働時間記録をさらにのばすとか
もう一度地球を撮影するとか、そういう地味なのになるでしょうね。・イトカワの正確な重力が算出されたのはイトカワ到着後。
ではミネルバのホッピング速度は地上からコマンドで指示したの?
→
地上観測の段階でイトカワの大きさと軌道はほぼわかっていた。
それを手がかりにしておおよその重力加速度を推定していた。
ホッピング速度は地上から指定できない。
356 Name: 名無しSUN [sage] Date: 2007/05/29(火) 22:35:47 ID: mCDgqOOH Be:
・リエントリーカプセルの分離機構は何?
→
火工品でスピンさせてバネで押し出す。
でも単純に言ってしまえば火工品でバンと打ち出すと考えてもらっていい。・後継機のターゲットについて
→
S型がターゲットだったのは地球近傍にあったことと
有機物を持たない分検疫に関する心配が少なかったから。
C型のように有機物を持つのをターゲットにするとなると
国民の理解を得なくては。検疫設備も絶対に必要になるし。
M型は「隕鉄はつまらん」というわけで科学者の興味は薄いですw・リポD、飲み飽きた?
→
大正製薬の方ですか?w
(大正製薬からもらった分を)飲んだのは多くが理学系メンバ。
工学系メンバはほとんど口にしませんでした。
357 Name: 名無しSUN [sage] Date: 2007/05/29(火) 22:38:11 ID: mCDgqOOH Be:
・現時点のエンジン累積稼働時間は?
→
25,800時間。
パネル資料ではそれぞれの設計寿命が 14,000 時間になっているけど
18,000 時間です。
以上。ご飯食べてもいい?(´・ω・`)
360 Name: 名無しSUN [sage] Date: 2007/05/29(火) 22:48:56 ID: mCDgqOOH Be:
お詫びと訂正。
>>352
×「比較的高速で時点する球状でない天体へのアプローチ」
○「比較的高速で自転する球状でない天体へのアプローチ」>>355
×「ホッピング速度は地上からコマンドで指示したの?」
○「ホッピング速度は地上からコマンドで指示する予定だったの?」
374 Name: 名無しSUN [sage] Date: 2007/05/30(水) 00:32:46 ID: 5fHwBJ5i Be:
はいよお待たせ、パネル合計6枚(の写し)スキャン画像セット。
合計860KB。マカーなんで解答したフォルダにゴミファイルがあるかも。
ttp://tatooin.hp.infoseek.co.jp/20070529_monthly_talk.zip>>370
> そのまま読むと川口先生も追い出されたことに…(マテ
以前のロケット祭りスペシャルでサイエンスチームの皆さんが
「タッチダウンの時、理学チームは追い出されたんですよ。
どうも口が軽いと思われてたらしくて」
と発言していたのと微妙に矛盾をおぼえるんですわ。
初耳の裏話などもいくつか入ってきて素晴らしい.ちなみに今回の話の内容は近いうちにポッドキャストで配信される見通しです.