福岡工大でのはやぶさ講演会レポート

福岡工大で 6/29 に開催された,吉光先生と阿部先生のはやぶさ講演会は,330 名が参加して盛況に終わったようです.

はやぶさスレにレポートが載っていましたが,非常に面白い話ばかりです.

646 Name: 641その1 [sage] Date: 2007/06/29(金) 23:34:43 ID: vBlPYQlW Be:
こういうレポート初めてなので、ごちゃごちゃです。
既出もたくさんあると思います。
イオンエンジン一機を動かすのに必要な1500Vの高電圧を作る電源は3機しか
 載せていないため、イオンエンジンの同時起動は3機まで。
 もともと4機目は冗長系として搭載。
M-Vの打ち上げには糸川式レーダーという物も使う。これは、透明のガラスのような物に
 計算して得られた飛行経路をおそらく手書きで書き込み、実際の空にそのガラスの
 経路がロケットの軌跡と合うように合わせる。打ち上げの時にそのガラスを見ると
 マジックで書き込まれた飛行経路の上をロケットが進んでいくという物。
 マジックの経路からはずれたら、指令破壊を検討しなければならない。
・キセノンガス66kgを購入するだけで云億円かかったとのこと。
・レーザー高度計は探査機の真下を向いているわけではなく、
 その角度の調整作業は内之浦で3日間徹夜で作業した。打ち上げの振動でずれれば
 終わりだが大丈夫だったとのこと。そして、イトカワに到着してからこの角度調整
 が正しかったかどうかは、イトカワに映ったはやぶさの影の大きさなどから確認できた。


647 Name: 641その2 [sage] Date: 2007/06/29(金) 23:36:04 ID: vBlPYQlW Be:
・その他を含めた観測装置などは2002年の1月29日から地上試験を開始。
 これは地上で地平線から昇ってきた月を使って試験したりもしたらしい。
はやぶさ打ち上げ前日は休暇で、内之浦の海で阿部先生はつりをして、タコが釣れ
 刺身にしてみんなで食べた。吉光先生は海に潜ってハマグリを捕った。
・2005/9/12にイトカワ到着パーティーを開いた。そのときにメンバーひとりひとり、
 粘土でイトカワの模型を作った。そのときにNTSpaceのKさんがつくったラッコ型
 模型が優勝した。
MUSES-Seaの表面の凸凹具合は0.6mで、これなら太陽電池パネルにぶつからないと
 いうことを確認して着陸させた。
・電波航法による距離測定では1億km離れると誤差は100kmになる。
はやぶさカプセルは11km/sで突入する。ちなみにスターダストは12.8km/s
・3回目の着陸リハーサルでイトカワの質量が分かった。
イトカワが地球周辺を通過するときに何らかの理由で、岩が地球に飛んできて
 それが火球となった例があることが判明した。つまり、イトカワから隕石が来ていたのだ。
 これはIAUの火球データーベースを使って調べたとのこと。
イトカワのすしを握ったような密度の小さな構造をラッブル・パイル構造という。
2chと書かれた上で、「おつかいできたかな」の画像が出た。
ミネルバ関係アンテナや分離機構を含めて1kg以内と言われたが1457gになって少し怒られた。
ミネルバを世界最小の人口惑星としてギネスに申請しようかなと検討中。
ミネルバの寿命は3小惑星日(12h * 3)だが、現在も生きている可能性もある。
ミネルバのような日本の探査機をロシアのフォボス探査機やESAのDon Quijoteに
 載せようという話が進んでいる。


648 Name: 641 [sage] Date: 2007/06/29(金) 23:43:43 ID: vBlPYQlW Be:
その他、直接はやぶさとは関係ありませんが、
阿部先生らが開発した紫外線まで撮れるHDカメラのテスト目的で、
スターダストカプセルが地球帰還する様子をNASAの航空機内で
撮影した映像が公開された。飛行機のすぐ近くを猛烈な速度で
通過していくカプセルは迫力がありました。パイロットは相当な
訓練を受けているので、近くても問題ないらしい。

これも既出かもしれませんが、ホームポジションから着陸までに撮影された
写真をつなげて疑似動画化した映像も公開された。
イトカワの自転を見積もった上でイトカワの全く別の場所に
近づいていっているのに、自転しているため最終的にはミューゼスの海に
接近していく様子が印象的だった。


663 Name: 641 [sage] Date: 2007/06/30(土) 21:51:20 ID: VGDHF5MA Be:
昨日の講演会では、今までに見たことのない打ち上げ追跡
動画も流れていました。赤外線カメラで撮影したと言うことで、
一段目分離などもくっきり見えた。
いずれにしても、もっとネットで公開してほしい

個人的にはこのへんがツボでした.

  • M-Vの打ち上げには糸川式レーダーという物も使う。

これはアイ・スクリーンというやつですね.今でも使っているとは….

  • NTSpaceのKさんがつくったラッコ型模型が優勝した。

NTspace の方だったんですね.さすが,モノづくりに長けているだけある.

  • イトカワが地球周辺を通過するときに何らかの理由で、岩が地球に飛んできてそれが火球となった例があることが判明した。つまり、イトカワから隕石が来ていたのだ。これはIAUの火球データーベースを使って調べたとのこと。

これはびっくりですね.サンプルを取りに行く前に向こうから飛び込んできていたとは!ミネルバやターゲットマーカも飛んでくる可能性があるのでしょうか….


追記(2007-07-07):福岡工大のサイトに写真入りレポートがありました.