はやぶさ,イオンエンジン C への切替に成功

久々に大ニュースです.はやぶさは 7/28 にイオンエンジン C のプラズマ点火に成功し,現在はエンジン C によって航行中とのこと.

一連の再起動作業の結果、7月28日にエンジン−Cのプラズマ点火に成功し、現在「はやぶさ」は同エンジンを用いて2010年の地球帰還をめざして動力航行を継続しています。

先日のエントリ,JAXA タウンミーティング in 座間レポート − はやぶさの第 3 イオンエンジンを 7/28 に点火,予算は外部の声が肝心 - はやぶさまとめニュースで 7/28 の夜に点火予定であることを報じましたが(「第 3 エンジン」というのはやはりエンジン C だったようです),無事に点火できたということですね.おめでとうございます.

当初は近日点付近での試験を予定していたそうですが,過熱の可能性が出てきたため試験を延期し,姿勢を傾けて太陽光の入射を避けたそうです.

探査機の温度が十分に降下した7月下旬になって、数日間をかけてエンジン−Cの電源をヒータで昇温させ、新たな立上げ手順によって同エンジンの再起動を試みたところ、7月28日にイオン加速に成功しました。これにともない、

もともとエンジン C は「低温時には加速電源が発振気味になる」「TWTA の起動特性に温度依存性がある」とのことでしたが,「新たな立上げ手順」でこの問題も解消されたということでしょうか.2005 年 8 月に停止して以来,実に 2 年ぶりの点火でしたが,イトカワの照り返しやバッテリ消耗による極低温にも耐え,ちゃんと動作していることは賞賛に値します.これまで運転してきたエンジン D の累積稼働時間が 13,500 時間とかなり長くなっており,エンジン B の性能も低下しているとのことなので,まだ余力十分なエンジン C が使えるようになったことは実に頼もしい話です.

はやぶさ」は、軌道変換に効率のよい時期に対応する本年11月まで、イオンエンジン−Cによる動力航行を継続し、それ以降はしばらく冬眠モードで弾道飛行させる計画です。

低推力ミッションとしてはすでに文句ない成果が出ているのですから,しばらくは少し冬眠させて燃料と労力をセーブするのもよいですね.

ともかく,中の人の不屈の頑張りに乾杯といったところです.お疲れ様です.


アストロアーツにも記事.


追記(2007-08-21):科学ニュース+板にもスレが.


追記(2007-08-26):Planetary Blog でも記事.