カウントダウン CD

内之浦で長年打上げ管制担当を務めておられる餅原さんが,日本科学未来館の特別展のために特別に読んでくださった,「ロケット打上げのカウントダウン音声をひたすら収録した CD」.

以下,ネタバレ含みます.


一般のレコード店などでは多分売っていないと思います.日本科学未来館の土産コーナーで入手できます.以前,池袋のジュンク堂でも見かけました.

ひたすらカウントダウン音声が聞けるだけの CD.60 分もあります.正直,全部通して聞く気が起こるどころか,聞き始めて数分で「何をやっているんだろう…」という気分になります(笑).未来館職員の提案で作られたそうですが,よくこんな企画が通ったなあww(館長の毛利さんとしては,また別の意味でカウントダウンに思い入れがあるでしょうが…)

しかしジャケットに収録されている,餅原義孝さん(打上げ管制担当),山脇菊夫さん(打上げ管制担当),山本善一先生(ロケットテレメータ班チーフ),井上浩三郎先生(衛星班チーフ)へのインタビュー記事はかなり読ませます.エマージェンシーストップ(緊急停止)が自らの役目である山脇さんが一度だけ遭遇した,打上げ 18 秒前の緊急停止のエピソードや,井上先生曰く第一可視での「戦争」など,短いながらも彼らの仕事の本質を突いた記事となっています.これを呼んでからあらためて打上げ音声を聞いてみると,その背後に忙しく動き回ったり,緊張してデータを見つめている担当者の方々が見えるような気がしてくるし,「エックスマイナス○分」という特殊な時間の収録は,時間をテーマにしたこの特別展の題材としてはなかなか良い着眼点だったのではないかと.そういう意味で個人的には 520 円の価値は十分にあったと思っています.

山脇さんと井上先生はもう退官されたそうですが,井上先生は ISAS ニュースで未だにおなじみですし,餅原さんは現在次期固体ロケットの開発に関わっておられるようです(昨年の宇科連のプログラム).2012 年,内之浦に再び流れるこのカウントダウンと共に TOPS が宇宙に飛び出す日が無事に来ることを願って.


追記:CD を外したところにある「AZ」「DEG」と書かれた計器の写真は,もしや方位角(Azimuth)を測るものでしょうか?針が 146 度を指しています.南南東の方向ですね.ちなみに M-V-1 は方位角 92.9 度,M-V-3 は 90.3 度,M-V-4 は 93.7 度,M-V-5 は 90.2 度,M-V-6 は 80.7 度,M-V-8 は 143.0 度,M-V-7 は 149.3 度でした.