はやぶさ2と Marco Polo の現状

日本地球惑星科学連合大会で行われた「始原天体サンプルリターンミッション会合」を松浦晋也さんがレポしてくださっています.はやぶさ後継機の現状が語られています.

ほぼ既報の内容ですが,ESA からのロケット調達の話とか,OSIRIS の現状とかもさらっと触れられています.打上げ日時も当初の予定からは遅れるようです.

はやぶさ

ロケットを海外から調達することが実施の条件となっており、NASA/ESAと交渉中。打ち上げロケットについて、近日中にESAから回答がある(はやければ6月中)。

関係者の発言からして、打ち上げは2014年に設定される可能性が大きいようだ。

Marco Polo

最終審査に通った場合には2011年に開発を開始して2018年に打ち上げる。探査目標はウィルソン・ハリントンという枯渇彗星核だ。

ESAのセレクションに落選した場合には、改めて日本独自の「はやぶさマーク2」として計画を立ち上げ直す。これまでの検討結果を使えるので計画の急速な組み替えを行うことになるだろう。

OSIRIS

オシリス構想そのものは死んでおらず、現在「ニューフロンティア」という別のシリーズのセレクションに参加しようとしているとのこと。

その他

以下が少々気になりました.

全体を通して感じるのは、小惑星・始原天体探査に対する理不尽な逆風である。

他にはキュレーション設備の見取り図など面白いです.

ちなみに,日本地球惑星科学連合大会の予稿は誰でも読めるようになっており,「太陽系小天体の科学」セッションでは,はやぶさ後継機関連の発表もいくつかあります.

また,6/1 に開催された「学術会議シンポジウム 第二回 天文学・宇宙物理学の展望−長期計画の策定に向けて−」でも,始原天体探査に関する発表があったようです.Marco Polo のコストは「はやぶさ」の数倍とのこと.

はやぶさ2」については、「はやぶさ」と同型機であるため、予算も「はやぶさ」程度の規模となる。ただし、打ち上げロケットを海外協力に求めることが前提とされているので、日本としての負担額は「はやぶさ」よりもかなり下がることになる。一方、マルコ・ポーロは、ミッションが大型化・高度化しているために、その総コストは「はやぶさ」の数倍になり、今後、科学的価値をなるべく落とさないようにしながらコストの削減を図る必要がある。なお、ミッションの体制であるが、両方とも宇宙航空研究開発機構JAXA)が中心となって、国際協力と国内のミッションチームの組織化を行う予定である。国内については、大学や研究所の研究者なども含めたミッションチームを組織していきたい。打ち上げ年度については、「はやぶさ2」は2010 年代半ば、「マルコ・ポーロ」については、2010年代終わりを目指したい。