輸送系ワーキンググループ(第3回)

ずいぶん前に出ていたようなのですが見落としていました.宇宙開発委員会計画部会の輸送系ワーキンググループ(第 3 回)議事録です.

議題は GX の話なのですが…冒頭から批判が次々来ていますね.特に東大の牧島先生*1,鋭い突っ込みです.

【牧島教授】 数百億円の予算が費やされているプロジェクトの場合には、科学研究の世界では必ずきちっとしたスケジュールが示される。ところが本日の御説明では、どういうスケジュールで開発を進めてゆき、どこに重点を置いて、どこの実証が済んだら次に何をするといったスケジュールが見えない。ある部分がだめだったら、どこで方針転換するという話も示されていない。それらがないと絵に描いた餅なわけで、それをどうやって「食べられる」ようにするかというところが問題である。
 そこを我々がきちんと見て、本当にこれでいいか確認しなければいけないが、その議論の参考になるものが何も出ていない。これはどういうことなのか教えていただきたい。

【牧島教授】 明確でない部分があれば、それは途中で分岐点として示せば良いのである。どういうスケジュールで、どういう費用で進めるかが資料として出せないようなプロジェクトを、国の中型ロケットとして明確に位置づけるという議論そのものが、私は間違っていると思う。それらの資料がもし出せないのであれば、それはとてもロケット計画としてまともなものではないし、巨額のお金を使う計画として国が支援すべきようなものではないと思う。もし出せるのであれば、私は追加資料として早急にそれを出すことを要求したい。

【牧島教授】 これまで既存の技術としては、一方にΜ系ロケットがあり、もう一方にH系ロケットがあった。その中で、将来的には中型衛星を打ち上げる技術が非常に大事であろうという認識が出て来た。その一環としてGXロケットというものが登場したと思うのだが、最近になって技術的に大きな問題が発生している。先ほどから話を伺っていると、中型ロケットとしてGXロケットがきちんと機能して、日本のロケットのラインナップとして働き始めるまでにはまだ見通しが非常に不透明なところがあるようだ。そういう現段階では普通に考えると、その間は中型ロケットに関する代替の施策があってしかるべきで、素人的に考えるとH−2A ロケットのデュアルロンチを推進したり、価格が高いM系ロケットにある程度の投資をして整備し、その打上げ費用を安くするという方法が考えられる。その2 つで当面は対応して、その間にGXロケットの方の見通しをつけるのが自然だと思うのだが、その見通しが立たない現段階で、Μ系ロケットは完全に終了してしまった。これは非常に不可思議な現象であり、今後数年間、中型衛星を上げる手段を日本はほとんど持たないことになってしまう。もちろん、基礎科学研究にも影響があるが、国策的な事業という面でも日本の意思決定はどうなっているのかと思う。

まったく同感です.

*1:X 線天文学がご専門で,宇宙研ともつながりの深い方のようです.