はやぶさ2が危ない (2) 「外国のロケットを使うよう指示されている」

えーと,なんかさらに不穏なニュースが飛び込んできたんですけど(大塚実さんいつもこういう情報どんどん出してくれてありがたいです).

今回明らかになったのは「はやぶさ2」に関してで、同WGにて松尾委員長が現状について質問したところ、川口教授は「国際協力により外国のロケットで打上げることを前提として検討するよう指示されている」という旨の返答をしたという。海外との共同プロジェクトならともかく、自国単独実施を前提にすでにかなり検討が進んでいる探査機において、改めて他国のロケットを使おうとするのは世界的にも異例だ。

海外に比べて割高とは言え、他の衛星との「相乗り」という手もあり、この段階からH-IIAの選択肢が外されているのは少し不可解だ。

一方「はやぶさ2」は国際協力ということなので、探査の成果を共有する代償として、外国に無料で打上げロケットを提供してもらう道を探っていることになる。つまり川口発言からは、JAXAが自前の資金で「はやぶさ2」を打上げる気がないことが読み取れる。

宇宙開発に詳しいジャーナリストの松浦晋也氏は、「『指示されている』という言い回しが気になる。言葉通りに受け取ると、海外ロケットの使用は強制されたもので、『はやぶさ2』検討チームは、ロケットを提供してくれるパートナーを見つけなければ、計画中止になる状況に追い込まれていることになる。ただでさえH-IIAロケットは、今後しばらくは打上げ機数が足りず、製造と打上げを担当する三菱重工業が、打上げ事業の継続に苦心しているところ。打上げ機数が 1機でも増えれば、それだけH-IIAは安定して運用できることになる。貴重な打上げペイロードを海外で打上げようとするJAXAの態度は不可解だ」と指摘している。

いやもうまったくもって不可解としか言いようがありません.

JAXA は何のためにわざわざ JSPEC という組織を立ち上げたのでしょうか? もともと深宇宙探査なんてやる気なくて,米国有人月探査に向けた利用調査を行うための組織に過ぎなかったのでしょうか? H-IIA という素晴らしいロケットがあるのにそれを使うなとは,強力なパートナーである三菱重工に対しても大変失礼な話です.もちろん限りある予算の中でやり繰りする苦労は察しますが,優先順位のつけ方が非常に不可解です.「はやぶさ」で JAXA に対する国民の株が大きく上がったことは,JAXA 自身もよくわかっているはずです(少なくとも広報レベルではかなり意識されているように思います).今ここではやぶさ2を見放すということは,これまで支持してきた国民を裏切り,今後潜在的JAXA の支持者となるであろう人々をみすみす逃し,さらには世界の笑い者になることを意味します.

そもそも,いくらなんでも本当に無料で打ち上げてくれるような気前のいい国があるはずがありませんから,探査の成果などを相当量,相手国に引き渡すことは必至でしょう.世界最先端を誇る小惑星探査の成果を売って二番手に成り下がれというのでしょうか.日本の太陽系科学が衰退してもかまわないというのか.これで長期計画を策定しているといえるのか.

…落ち着け>俺

…まあともかく,こんな理由で中止になったら泣くに泣けません.


追記(2007-09-23):2ch スレ.キャプφさん捕捉どうもです.