はやぶさ応援動画は大盛り上がり,かぐや・PLANET-C 秀逸動画も

(前日のエントリが長すぎてもはや記事を追加不能だったのでこちらに移しました)

ニコニコ動画でははやぶさ祭りが加速しています.

「探査機はやぶさにおける、日本技術者の変態力」は言わずと知れた 35 万再生動画ですが,同じ作者さんの「探査機はやぶさ 「はやぶさへの手紙」」も貴重な映像を交えて泣ける名作です.良いセンスをもっておられます.

良いセンスといえば,映像と音楽のシンクロ,そして探査機への情熱が素晴らしい toma さんも今回いくつか新作を作っておられます.上記の「【実写系PV?】Escapeに探査機とかロケットとか合わせてみた」はロケット・探査機てんこ盛りの GJ 動画です.また,かぐや,PLANET-C の以下の動画も素晴らしい.「「サイハテ -heavenly mix-」にかぐやをあわせてみた」はもっと評価されて良いはず.サイハテでのぞみや New Horizons などのシリーズも出されていますが,サイハテと探査機は相性良いですね.「【MAD】秒速100メートル【PLANET-C】」は吹きましたwww「JAXAは大変なロケットを打ち上げていきました ★ - はやぶさまとめニュース」や「はやぶさ帰還で人類滅亡 ★ - はやぶさまとめニュース」のぎりぎりのギャグとサイハテ系の真摯な想いが入り混じった絶妙な構成です.

なお,今回から管理人の独断と偏見でお勧め動画に★をつけています.

はやぶさの打上げから初期運用に至る詳細な手記

紹介が遅くなってしまいましたが,天文学者はやぶさの近赤外分光計開発にも参加された阿部新助さんの手記がすごいです.はやぶさの打上げから初期運用にかけて,数値やエピソードを詰め込んだ貴重な手記です.

X−2分、発射準備完了。それまで曇天だった空にぽっかりと青空が広がった。
内之浦の上空に正に宇宙へのウィンドウが開いた。

探査機の愛称は、5月7日締め切りで、我々鹿児島の実験班員と宇宙研職員らによって提案された192種類の名前から決まったものである。最多得票は、手塚治虫ファンのKSC所長・的川泰宣先生ご推薦の「アトム」が13票、「はやぶさ」はそれに次ぐ10名からの提案があったそうだ。「ヤマト」もイオンエンジン・ステッカーを実験班員に配布して布教活動を繰り広げたが、毎回提案される名称とのことで、今回も落選だった。

毎回提案されるんですかwwww

さて、「はやぶさ」は、目標に向かって精確に飛び、ホバリング、サッと獲物を獲る姿が、小惑星に向かって精確に飛び、上空に留まった後タッチ・アンド・ゴーでサンプルを得る様子に似ているという表向きの選定理由以外にも、日本のロケットの生みの親である糸川英夫先生の手がけた戦闘機「隼」や、東京と鹿児島を結ぶ寝台特急はやぶさ」なども思い浮かぶ名称である。

宇宙研の工学実験機は、純粋に工学技術を実証するという観点ではなく、理学的目的を伴って初めて飛翔意義が生まれるパスファインダー(Path Finder)と呼ぶべきもの、つまり今回のミッション以降に類似の計画があり、その成功確率を高めるために総合技術を実証しておこなおうというものである。

それにしても…末尾のリンク集では本家 JAXAISASWikipedia を差し置いてはやぶさまとめが一番上に来てるのに腰抜かしましたがwww…関係者の方々にも認知されているのだなあとあらためて襟を正した次第です.

ホリエモンが本気でロケットを作っていた

ホリエモンこと堀江貴文さんが,昔から宇宙好きで,「王立宇宙軍」の大ファンだったりロシアのカプセルを買ったりというのは知っていたのですが,まさか松浦さん,あさりよしとおさん,笹本さんと一緒に東京のど真ん中で本当にロケットエンジンを作っていたとは! 楽しそう….

オーストラリアはやぶさお迎えツアーに自粛の動き

はやぶさスレなどでは,はやぶさ帰還をオーストラリアで迎えたいという声が少なからずあり,実際にツアーのようなものを企画しようとする方々もおられました.

しかし,このたびのイオンエンジン復旧時の記者会見で,

毎日 帰還日は決まっているのか。

川口 今のところ言わないことになっている。勘弁してください。旅行する人が大変になったりするので…

はやぶさリンク:はやぶさ、帰還に向けてイオンエンジン再起動: 松浦晋也のL/D

というやり取りがあったことを受け,少なくともツアー計画を進めておられた「天燈茶房 TENDANCAFE」の mitsuto1976 さん,「人生ご縁となりゆきで」のすばるさん,「文系宇宙工学研究所」の金木犀さんは,JAXA 側に迷惑がかからないようにとツアーを自粛することにしたとのことです.

……確かに自分が宇宙研関係者だったら「来るな。お願いですから来ないで下さい」と言う。わかっちゃいたんだ。

カプセル再突入の瞬間を見届けたいという気持ちは,はやぶさファンの多くに共通のものでしょう.それは管理人も全く同じです.しかし,川口プロマネご自身から「勘弁してください」という発言があったことは,やはり重く見るべきなのだろうと思います.宇宙研のために悩みながらも冷静に英断をくだしたお三方のご判断に,はやぶさまとめ管理人は敬意を表したいと思います.

はやぶさのことをよく理解しておられる野尻さん自ら指摘されているように,

「感動」を求めて集まってくるファンというのが、どうもクールさに欠けると思っています。

尻P(野尻抱介) on Twitter: ". @sikano_tu @teehah この脚本は事実であるだけに素晴らしいのだけど、「感動」を求めて集まってくるファンというのが、どうもクールさに欠けると思っています。"

はやぶさの熱狂的なファンは周りが見えなくなってしまうことがしばしばあります.管理人自身がまさにそうで,これまでも感動を煽り,自分も煽られてきたことは大きな反省点です.ツアーに関しては個人的には静観していましたが,そのような流れを生み出す一助になってしまったかも知れないことに関しては責任を感じています.だからこそ,このような動きが今後起きないように,はやぶさ帰還に関する本ブログでの扱いは慎重にしていきたいと思います.そしてこのことに気づかせてくださったお三方の議論に心から感謝申し上げます.

一方で,

今、国民目線からみて、何が本当に必要なのか。

それをきちんとプレゼン出来るロビイストと。
並行して、民意の認知を高めていくための広報活動と。

今のJAXAには、何よりそれが必要だと思うのだ。


その一環として、例えば今回の「はやぶさ」の地球帰還等は、
優秀な広告代理店と組む等すれば、格好のイベントと化すことも
出来るのではないか?

という意見も出ています.これも,JAXA や日本の宇宙開発の将来を思うからこその意見で,前半に関してはまったく同意です.ただ,実際はコストパフォーマンスの問題,そしてこれはお三方も指摘されていますがインフラの不足と国際調整という問題があるのでしょう.帰還はオーストラリアの砂漠地帯,宿泊施設や交通機関も限られているのではないでしょうか.国内でさえ,今年夏の皆既日食では悪石島に観光客が殺到して混乱をきたしたことを考えると,外国の軍事施設では同じことは許されないでしょう.そして日食と違うのはぎりぎりのクリティカルフェーズであることで,乱暴を承知でたとえるならオリンピックの 100m 走で号砲直前に観客がトラックに踏み込むようなものであり,まさに野尻さんが憂慮する「クールさに欠ける」ファンの姿そのものであるということです (自戒).

広報活動の重要性は JAXA はわかってはいるはずで,限られた予算と人員のなかで出てきたのが例えば「あかつき」や IKAROS のキャンペーンであり,「きずな」クリスマスカード配信であり,JAXA 採用ブログであり,YouTube JAXA チャンネルであって,はやぶさに関しても,宇宙オタ数十人を相手にした豪州ツアーよりももっとコストパフォーマンスの良い広報活動が考えられるはずです.そこに期待したいところです.

あくまで一ファンとして,管理人はファンの渡航自粛に賛同し,今後の記事執筆でも慎重を期しつつできるだけ情報を伝えていけるよう,留意していきます.ファン心理を考えると非常に悩ましいものはありますが,はやぶさの確実な帰還のために,ご理解いただければ幸いです.


Wiki サイドバーのはやぶさ帰還カウントダウンクロックも 1.1 に上げたところでしたが,正確ではなく帰還日は未定であることを明記しておこうかなと思っています.

はやぶさタッチダウン 4 周年

あれからもう 4 年です.おめでとうございます.はやぶさの航海も残すところ半年です.

はやぶさスレの ◆.hkMuSes.c さんが今年も作成された記念のケーキです.完成度がすばらしい.


2 枚目の画像は,映画「HAYABUSA」の「斬鉄剣」シーンへのオマージュですね.ラブルパイルがよくわかるw

◆.hkMuSes.c さんの 2 周年のケーキはこちらです.1 周年のものもここからたどれます.

はやぶさ,イオンエンジン復旧運用の最中に至近距離で火星を撮影

「今週のはやぶさ君」の 11/26 分が更新されましたが,なんとはやぶさは 11/12 にスタートラッカで火星を撮影していました.

11/4 にイオンエンジン異常停止し,ニコイチ運用での推力を確認したのが 11/11 のこと.11/12 というと,希望の光が見えてきたが,それでもまだまだ予断を許さない状況だったのではないかと思います.そんな中の火星の撮影,しかも迅速な公開に感謝です.

また,2006 年 3 月通信復旧プレスリリースでは,

探査機搭載のイオンエンジンや3軸姿勢制御のためのスタートラッカ、姿勢軌道制御コンピュータなどは、探査機全体の電源が一旦落ちたため、非常に低温の状態におかれたと推定されており、その機能が保たれているか懸念されるところです。現時点では、これらの機器の動作は確認にいたっておりません。

とあったため,スタートラッカを心配していましたが,正常に動作しているようで何よりです.

はやぶさと火星の距離は 0.13AU.ざっと 1900 万 km です.火星半径は 3400 km ですから,さすがに点にしか見えませんね.ダイモスの軌道半径でさえ 23,400km です.しかし,それでも火星に日本の探査機が近づいたのは,のぞみが 2003 年にわずか 1,000km (火星直径のたった 1/7.例えば東京〜宗谷岬間は 1,100km) まで近づいて以来のことです.機器が正常に作動していれば,のぞみはその時火星表面を自動的に撮影してメモリに記録したはずですが,送信機が復旧しなかったためにのぞみがその画像を地球に送ってくることはありませんでした.その事実を思い起こすと,はやぶさの送ってきた火星の写真には特別な感慨を抱きます.

ちなみに火星のバックに写っているのはしし座ですね.SAT というのは土星のようです.

「今週のはやぶさ君」にはさらに,11/26 の第 2 回タッチダウンの時に使われたホワイトボードの写真も載っています.当時からそのまま保存されているようです.

京都ではやぶさに関する市民シンポジウム開催

9 月 13 日,京都で「宇宙科学技術連合講演会: 宇宙を楽しむ市民シンポジウム 小惑星探査機『はやぶさ』の物語」が開催されたそうです.

パーソナリティは,HAYABUS LIVE ブログとリポ D でお馴染みのテラキンさんこと寺薗先生,出演者は天体力学の吉川先生と,宇宙工学の山川先生という豪華メンバー.

テラキンさんご自身によるレポートがあがっています.

天燈茶房亭主さんとすばるさんのレポートやレポまとめ.毎度ながら詳しい.しかもリクエストに応えてリポ D を飲むテラキンさんの動画が!www すばるさんの書き起こしも爆笑モノです.