はやぶさ,イオンエンジン復旧運用の最中に至近距離で火星を撮影

「今週のはやぶさ君」の 11/26 分が更新されましたが,なんとはやぶさは 11/12 にスタートラッカで火星を撮影していました.

11/4 にイオンエンジン異常停止し,ニコイチ運用での推力を確認したのが 11/11 のこと.11/12 というと,希望の光が見えてきたが,それでもまだまだ予断を許さない状況だったのではないかと思います.そんな中の火星の撮影,しかも迅速な公開に感謝です.

また,2006 年 3 月通信復旧プレスリリースでは,

探査機搭載のイオンエンジンや3軸姿勢制御のためのスタートラッカ、姿勢軌道制御コンピュータなどは、探査機全体の電源が一旦落ちたため、非常に低温の状態におかれたと推定されており、その機能が保たれているか懸念されるところです。現時点では、これらの機器の動作は確認にいたっておりません。

とあったため,スタートラッカを心配していましたが,正常に動作しているようで何よりです.

はやぶさと火星の距離は 0.13AU.ざっと 1900 万 km です.火星半径は 3400 km ですから,さすがに点にしか見えませんね.ダイモスの軌道半径でさえ 23,400km です.しかし,それでも火星に日本の探査機が近づいたのは,のぞみが 2003 年にわずか 1,000km (火星直径のたった 1/7.例えば東京〜宗谷岬間は 1,100km) まで近づいて以来のことです.機器が正常に作動していれば,のぞみはその時火星表面を自動的に撮影してメモリに記録したはずですが,送信機が復旧しなかったためにのぞみがその画像を地球に送ってくることはありませんでした.その事実を思い起こすと,はやぶさの送ってきた火星の写真には特別な感慨を抱きます.

ちなみに火星のバックに写っているのはしし座ですね.SAT というのは土星のようです.

「今週のはやぶさ君」にはさらに,11/26 の第 2 回タッチダウンの時に使われたホワイトボードの写真も載っています.当時からそのまま保存されているようです.